

速報!新思潮奈良研修句会
2015年10月10日
〈 合評会 〉会場 ホテルアジール奈良 司会 寺田 靖 参加者 35名 ※事前投句雑詠3句 事前互選1人5句選(内秀句1句2点) |
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10点句 | 牛買いが来る日僕も月もひとり | 久保田寿界 |
きのうまで名前のあった洗面器 | 福田文音 | |
8点句 | しゅらあしゅら人に会うため汽車に乗る | 矢本大雪 |
7点句 | オフェリアの末裔なれば淡水魚 | 本多洋子 |
6点句 | にんげんを積む全身を耳にして | 重田和子 |
5点句 | のんびりと雨に喰われている生家 | 八上桐子 |
オルガンに鳴らぬ音増え母の日日 | 山辺和子 | |
倶会一処さくらの花もわたくしも | 大楠紀子 | |
少年兵の銃口にビー玉転がる | 鶴本むねお | |
よいとまけこの気怠さは基督だ | 山内 洋 | |
青い哲学男は梨を一つ買う | 久保田寿界 | |
咲くように脈ゆっくりと雲になる | 岩崎眞里子 | |
4点句 | 電線の行間を逝く夏のひとひら | 西田雅子 |
生生流転 ひらりひらりと黒揚羽 | 元永宣子 | |
人形の息して秋の闇にいる | 本多洋子 | |
正倉院の瑠璃の小瓶よ | 大楠紀子 | |
向き直る父ふくろうの影になり | 八上桐子 | |
息かけて磨く海だけ見せる窓 | 斉藤和子 | |
生命線食わず嫌いのまま延びる | 中林典子 | |
萩こぼれ夢の隣りが落ちつかぬ | 秋田あかり | |
実生からはじまる父の物語 | 重田和子 | |
嵐の夜母はしりとりしています | 和田洋子 | |
妹のきれいに裏返るオセロ | 芳賀博子 | |
3点句 | 千手観音どの指先も蝉時雨 | 矢本大雪 |
堂暮れて眠れぬ神将白きまま | 杉野まつ子 | |
秋霖にブルーチーズの燥ぎよう | 池田みほ子 | |
ひなげしの化身とあるく港篇 | 岡田俊介 | |
げんげ田のげに怖ろしきひとりごと | 内田真理子 | |
笛吹きが公園にいる急な秋 | 坂根寛哉 | |
あの夕日毀れて以来薔薇を挿す | 寺田 靖 | |
2点句 | 姉はときどき自分の鼻にけつまずく | 笠嶋恵美子 |
青い芥子生き抜くための免許証 | 重田和子 | |
しりとりの「ラ」で攻めてくる砂時計 | 氈受 彰 | |
水面を転がっていた少年期 | 福井陽雪 | |
夜の奥からずぶ濡れの千羽鶴 | 中林典子 | |
追伸を書く頃ゆるむ葡萄房 | 山崎夫美子 | |
繙いた女性史からのエネルギー | 池田みほ子 | |
あんぱんのへそ だいじょうぶだいじょうぶ | 芳賀博子 | |
大切なもの気づかぬままに消えて秋 | 杉野まつ子 | |
目薬が溢れ正気を取り戻す | 中林典子 | |
銀漢やもうかまだかの七十年 | 鮎貝竹生 | |
君がいるひまわり畑は球形で | 山崎夫美子 | |
顔を彫る風 晩夏の深いところから | 岡田俊介 | |
思い出じゃないひと日がほしい田村草 | 越智ひろ子 | |
秋深し珈琲館のエルグレコ | 本多洋子 | |
目覚めれば僕にだけある朝の色彩 | 福井陽雪 | |
こんなだったね羊水の肌ざわり | 斉藤和子 | |
なでしこに雨 幻となる句集 | 山辺和子 | |
ふくろうのひまなく頬をぬらしおり | 辻 嬉久子 | |
五十九分五十九秒 秋を振る | 内田真理子 | |
空きビンの透明感に棲むマリア | 山内 洋 | |
※柳誌には選者名と合評の詳細(鑑賞等)を合わせてご紹介します。 |
2015.10.17