琳琅 No.177 2022年11月号より②
その日々を映した色に咲く芙蓉岡田 俊介
 俊介作品にしばしば登場する芙蓉は、氏をあたたかく包んでくれるアットホームな存在なのだろう。その芙蓉をつくづく見つめていると、心の奥に仕舞っていた大切な記憶が鮮明に甦ってくるのだ。発想から表現へ、静かなトーンのうちに繊細な作品を創り上げる手腕には揺るぎがない。〈細川 不凍〉
縄文の笛赤く紛れるねぶた囃し吉見 恵子
 弥生時代前、約1万年も続いた縄文時代は戦の痕跡も無い平和な時代だったという。様々な土偶や櫛等の装飾品・針等の生活道具の他、祭祀用と考えられる朱塗りの品々や土笛・岩笛も出土している。朱塗りの縄文笛の音色と現代のねぶた祭りの囃子が「赤く紛れ」て鮮やかに繋がって見えた。祭りの赤には生命に関わる不思議な力が宿っており、何時の時代も人を鼓舞している。〈岩崎眞里子〉
緞帳に追い詰められてゆく夕陽氈受  彰
 この句は、人生の残り時間に対する焦りのようなものを表現している。「この世は舞台、人はみな役者だ」とは、シェイクスピアの言葉。迫りくる緞帳に、果たしてどこまで演じ切れるのだろうか。〈吉見 恵子〉
人肌の温もり真夜のキーボード松井 文子
送り火を消さないように泣いてます伊藤 礼子
千秋 水のごとくに戻り来ぬ吉田  浪
ひとまわり痩身になりて散歩道田中 澄雪
切り株のひとつに木霊の行方かな西条 眞紀
こし方に時の温もりカスミ草富永 恵子
その後降る雨の激しさ愛おしさみとせりつ子
少しずつ白くなるはずです心岩崎眞里子
打ち寄せて引いて渚の小悪魔は新井 笑葉
空が濁る僕の心に大理石笹田 隆志
白桃の滴 頬までルノアール杉山 夕祈
2022.12.10

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