News!とエッセイ (2022年)
2022年12月10日  11月8日の朝日新聞夕刊に、AIの作った俳句が俳人が詠んだ俳句に遜色がないという研究結果を発表した京都大学の研究チームの記事がありました。
  少年の 日の終わりたる 夜寒かな
  白雲の 海を見ている 夜寒かな
  家近く 夜寒の橋を 渡りけり
 如何?種明かしすれば、3番目の句が俳人の句。上2つはAIの作った句。
 川柳を嗜む者にとっても興味深いですが、七転八倒して句は作ってこそ楽しいのです。
 琳琅ダイジェスト177-②のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年11月10日  177号にようこそ。格言というものはあまり好きではありませんが、"禍福は糾える縄の如し"というのは好きです。幸と不幸は交互にやってくるというもの。詩人の平田俊子の詩にこんなものを見つけました。
  自転車を盗まれた日 猫を拾った
  傘を無くした日 虹を見つけた
  風邪を引いた日 花をもらった
 如何でしょうか。
 琳琅ダイジェスト177-①のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年10月10日  プレバトで芸能人の作る俳句はあまり感心しませんが、夏井いつきさんの「泪より少し冷たきヒヤシンス」という句は、俳句と川柳の境がそれほど明瞭ではないことを感じた句です。また、朝日俳壇で活躍されている石橋玲子さんの「一口の桃の冷ましてゆく微熱」も俳句であり、また人間の心の機微を読み取れる川柳としても理解出来そうな句。そんな奥床しき句を皆様も詠んでみませんか?
 琳琅ダイジェスト176-②のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年9月10日  176号にようこそ。あんなに暑かった日々がようやく終わりにあることに気づかせてくれる風と雲。それに店先の果実。桃、ぶどう等、色々と並びます。中でも好物は無花果。くどくない甘さとプチプチという歯触り音が良いですね。花が咲かないのに実が成るので無花果。旧約聖書のアダムとイヴの食べた禁断の木の実はじつは林檎ではなく、無花果だったとか。その禁断の木の実を今日も一つ食べました。
 琳琅ダイジェスト176-①のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年8月10日  コロナの第7波による感染者の増加は今までに経験したことのない規模です。
 それでも普段通りの暮らしを崩さずにと、マスク、消毒それに4回目のワクチン接種と、やれるものは全てやって行きます。そして夏。少しは気分を変えたいと京都の八瀬に小旅行。夕食を終えた後、なんと北の空に北斗七星と、その反対側にカシオペアが見えました。むろん真ん中に北極星も。街の灯りがここまでは悪さをしないのです。見える星の数も多く、感動しました。感動があって句が生まれるのです。皆様もどうか旅を。むろんコロナ対策はお忘れなきように。
 琳琅ダイジェスト175-②のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年7月10日  175号にようこそ。梅雨が数えるほどの日数で明けしてしまいましたね。ですが、同じように夏が巡ってきている筈のウクライナが気になります。今も激しい戦闘が続き、そしてロシアの、領土への異常とも思える執着と傲慢と残虐性に心が乱されます。そんな折、ラトビアの女性5人によるボーカル公演を見ました。ウクライナ同様、ドイツやロシアに何度も支配された小国ですが、その歌声には自由と民族の力強い叫びが有りました。これが国を守って行く力の源泉なんだと強く感じました。
 琳琅ダイジェスト175-①のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年6月10日  いよいよ六月。梅雨が間近です。その梅雨空の下で弾まない心を慰めてくれるのが紫陽花。原種は日本の蕚あじさい。密集して咲く小さな青紫色の花の周りに、花と見まがう蕚が大きく発達して、品のある花形を見せてくれます。江戸時代末期に長崎の出島に駐在した医師シーボルトが紫陽花に愛妾のお滝の名を入れてオタクサと命名した話はよく知られています。紫陽花の花言葉は、冷淡、無情、浮気など、少し可哀そうですが、一方、知的、神秘的などの花言葉も持っています。ちなみに紫陽花は神戸市の市花であり、神戸市立森林植物園には数多くの種が花を咲かせていて見事です。晴れよりも雨が似合う紫陽花はまさにお滝さんです。
 琳琅ダイジェスト174-②のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年5月10日  5月の連休も終わり、また日常に戻って行く淋しさは、仕事が嫌いな者には良く分かります。では日常の中に仕事を忘れる非日常をどう取り込むかですが、たまには行ったことのない最寄りの国・都・道・府・県立の大きな図書館に行くのがお勧めです。其処には普段目にしない本や資料が一杯あり、本好きにはたまりません。しかも施設は立派で、かつ来館者は何故か少ないのです。そうそう、お弁当は忘れないで下さいね。
 琳琅ダイジェスト174-①のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年4月10日  ウクライナの惨状とロシアの卑劣なやり口に、やり場のない怒りと悲しみが渦巻いています。そして無力感に苛まれる4月です。それでも桜の花が咲き、ムスカリは小さな青い花の房をお日様に見せびらかしています。先日、大阪万博公園に行ってきました。未来が今よりもきっと良くなると信じていた時代が何とも愛おしく、岡本太郎が"芸術は爆発だ"という言葉で生んだ太陽の塔には圧倒されました。詩を生み出すにも"爆発"がないといけないのでしょう。憤り、悲しむ心を爆発させて生んだ詩が、やがてどこかで人の心を打つのに違いありません。
 琳琅ダイジェスト173-②のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年3月10日  ワクチン3回目の安堵感など粉々に吹き飛んだ。ウクライナへのロシアの侵略戦争とも言うべき暴挙に憤りを感じると同時に無力感に襲われている。民家やアパートにもロケット弾が撃ち込まれ、罪なき人々が逃げまどい、子供が犠牲になっている。何をすればいいのか、何か出来ることがあるのか、途方にくれているのだが、きっと出来ることはあるはず。そう、日々平和な中にいて詩を生み出すのもひとつの戦ではある。
 琳琅ダイジェスト173-➀のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年2月10日  2月3日は節分。この日の定番を、豆まきではなくて海苔巻きの丸かぶりに変えたのは誰? 通勤の途中にあるお寿司屋さんに、毎年、松の内が終った頃から鬼のお面の絵と一緒に節分の丸かぶりの張り紙が出ていたのを懐かしく思い出します。先日の朝日新聞の天声人語に、季節感のある〈猫柳青空のまだ冷たかり〉の伊藤政美の俳句が紹介されていました。"青空の冷たかり"という感性が何とも素晴らしい。あなたもそんな川柳をひとつツイートしてみてはいかが?
 琳琅ダイジェスト172-②のご紹介です。こちらからどうぞ→
2022年1月10日  去年よりも寒く感じる冬になりました。そんな寒さの中で思い出すのは、「かくれんぼ三つかぞえて冬になる」という寺山修司の俳句。神社の境内でかくれんぼをしているのかも知れません。鬼の子が三つ数えている間に子どもたちはさっと隠れ、息も止めています。振り返った鬼の子には物音ひとつ聞こえない。秋の境内が急に冬になっていたのです。寺山修司の感性のすばらしさに乾杯。こんな川柳をつくりたいものです。
 琳琅ダイジェスト172-①のご紹介です。こちらからどうぞ→

PAGE TOP